Last Updated 2021.01.25
マーケティングは調査・戦略・プログラム立案・実行・管理の流れ
マーケティングの立案について解説します。マーケティング計画の立案は、調査つまりResearchから始まります。市場の調査を行い、市場が今後どう動くのか予測するとともに、自社のビジネスにとって都合の良い追い風を探し当てることが目的になります。
マーケティングのプロセス
Research(調査)が終わったら、次はSTP(細分化、標的化、ポジショニング)のSegmentation(細分化)です。細分化では市場を細分化し、自社製品が有利に動く場を発見すること、Targeting(標的化)では攻略すべき顧客層を限定すること、Positioning(ポジショニング)では戦いが有利に展開できる立ち位置を見出すことがそれぞれの目的になります。これら細分化、標的化、ポジショニングはセットでSTPと呼ばれ、マーケティングの要になります。
4つのPを策定する
次は、選択した市場に対する具体的な解決策として4つのPを策定します。4つのPとは、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)の4項目を意味しています。この4項目を明確にして、エンドユーザーに届ける具体策を開発します。
4つのP、製品・価格・流通・販促が決まったらImplement(実行)段階に移ります。目的達成に向けて、チームを編成して職務を確実に遂行しているのかチェックしながら進めていきます。
そして最後にControl(管理)です。これは次年度の改善ポイントを明確にして、フィードバックする段階です。ここで売上、市場シェア、戦略、顧客ファンの忠誠心、商品の認知や購入意向率などさまざまな評価指標を設定して、分析して、評価して、次の打ち手につなげていきます。
5つのステップでビジネスを組み立てて実行していくプロセス
Research(調査)
- 不確実な未来に対して、想定できるいくつかの未来シナリオを考える
- 自分のビジネスに有利に働く追い風を見つける
- どのようなビジネス展開が有利かイメージする
STP(細分化・標的化・ポジショニング)
- No.1を獲得しうる市場を探り当てる
- 売上にもっともインパクトのある優良顧客を選定する
- 競合があまりいないポジションを探し、戦いを有利に展開する
4P(製品・価格・流通・販促)
- RとSTPのキーポイントを考慮して、考えうる最良の製品やサービス内容を考える
- 最適な価格と流通先を検討する
- もっとも効果的なプロモーションを考える
Implement(実行)
- 強いチームを編成して、メンバーを鼓舞していく
- 計画を実行して、しっかり展開できているか管理する
Control(管理)
- 評価指標を設定して、どこに問題があるかを把握して、次年度に改善するポイントを明確にする
以上がマーケティングのプロセスの基礎的な考え方です。
Research(調査)自社のビジネスを取り巻く環境を調査・分析
Research(調査)の目的はビジネスに関連する最良の未来を予測することと、自社ビジネスに追い風となる時代のキーワードを発見することです。
Research(調査)のプロセス
Research(調査)は大きく分けて、外部環境分析、内部環境分析、自社・競合分析の3つの層に分けられます。
外部環境分析では、世界情勢、国内情勢を政治、経済、社会、技術、メディア等、あらゆる視点で見渡し、現状を把握して今後を見通します。結果として、自社のビジネスに対して追い風となる事象と向かい風となる事象を把握します。具体的な手法としてはPESTと呼ばれる有名なマーケティングのフレームワークがあります。
内部環境分析では、主に業界動向を見極めて業界内に今後どのような変化が生じるのかを予測します。代表的なマーケティングのフレームワークとしては、M.E.ポーターが考案したFive Forcesがあります。
自社・競合分析では、自社の強みと弱みを競合となる企業と比較しながら検討していきます。自社を取り巻く環境分析としては4C分析や7Sというフレームワークが有名です。
これまで見てきた外部環境分析、内部環境分析、自社・競合分析の3つのレベルの分析から、私達は次の2つを明確にしなければいけません。
- 自社が直面するであろう未来のシナリオをいくつか想定して、シナリオに対応しうる打ち手の準備をすること
- 自社のビジネスに対して追い風となる事象を把握して、マーケティング戦略につなぎこむこと
3つのレベルのビジネスの未来を予測する
外部環境分析
具体的にはビジネスへの追い風は何か?を考えます。主に世界情勢と国内情勢という大きな枠組みで考えます。政治動向、紛争や協定、法律関連、業界関連法案等、経済状況(インフレ・デフレ、株価動向、家計動向)、社会状況(人口動向、環境問題、教育、流行)、技術革新(業界関連技術革新)等を分析していきます。
内部環境分析
業界はどう変化していくのか?を考えます。主に業界動向と関連業界動向の枠組みで考えます。新規参入の脅威、代替品の脅威、供給企業の交渉力、買い手の交渉力、競争企業間の敵対関係等について分析していきます。
自社・競合分析
自社はどう動いていくのか?競合はどう動いていくのか?を考えます。主に自社と競合で考えます。売上と利益構造、伸びるビジネスカテゴリー、企業の共通する価値観や理念、経営スタイル・社風、人材、スキル・能力、戦略、組織構造、システム・制度について分析していきます。
STP セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング
STP、市場細分化(セグメンテーション)、標的化(ターゲティング)、立ち位置(ポジショニング)の3つのポイントはマーケティング戦略の要となります。
市場には常に競争があります。競合や新興企業がシェアを奪い合っています。その市場で自分のビジネスが優位に立てる場を見つけることがビジネス基盤を作る要となります。
セグメンテーション
セグメンテーションは、市場をさまざまな切り口で細分化し、どこを攻めるべきかを決める作業です。製品カテゴリーや顧客の消費量、エリア別などあらゆる切り口で市場分析して、まずどこから攻略するべきかを検討していきます。
ターゲティング
次は目標を決めるターゲティングです。細分化された市場で標的を定めて、そこで購買行動をしているプレーヤーを分析していきます。どの顧客グループが自社商品に振り向いてくれそうかを解析して、判断していくという作業です。人口統計学的属性、心理的属性、地理的属性、メディア特性、消費者行動パターンなど、さまざまな切り口で分析して、顧客像をリアルに浮き上がらせていきます。
ポジショニング
最後はポジショニングです。競合他社がひしめく中で、自社製品が市場でどういう立ち位置でビジネスを展開するのかを決める作業になります。具体的には、競合他社や自社の他製品とのカニバリゼーション(共食い)を意識して、競争相手の少ないポジションを見つけることができれば、ビジネスは有利に展開することができます。
4P(製品・価格・流通・販促)売上目標達成のための具体策の立案
調査で外部環境、内部環境、自社・競合を分析していくと、近い将来どんな打ち手が必要なのか、うっすらと見えてきます。さらにSTP(市場の細分化、標的化、ポジショニング)を検討すると、うっすらとしてた策がはっきりと見えてくるでしょう。4Pは概念として頭の中にあった策のイメージを、モノやサービスに具体的に変換していく作業になります。4Pは製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、販促(Promotion)の頭文字をとったもので、E.Jマッカーシーが提唱しました。この4つの要素を組み合わせて、望ましい市場反応を引き出すわけですが、この作業をマーケティング・ミックスと呼んでいます。4Pはマーケティングを実行する上で必要最低限の基本項目になります。しかし、この4項目を競合と比較検討するだけで、自社の強みや弱みが見えてくる便利なツールです。
4Pは提唱されて50年以上経つフレームワークなため、いくつか補足して考える必要があります。まず、4Pは売りて(企業)の視点に立っているため顧客視点を踏まえることが必要です。マネタイズ(現金化)の方法が複雑になっているため、様々なビジネスモデルを検討することが必要になるなどです。
また、サービス・マーケティングでは、物的証拠(Physical evidence)、プロセス(Process)、参加者(People)を追加して7Pとして考えるフレームワークもあります。
4Pはマーケティングの基本中の基本となるものです。製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、販促(Promotion)は必ずマーケティングの時には意識するようにしましょう。
Control 実行と管理チームを編成し具体策を実行し管理する
マーケティングをマネジメントしていく上で大切なのは、
- マーケティング計画を強力に実行するチームの編成
- 目標達成に向けた評価管理体制の構築
- 評価指標のスコアを把握するための情報システム
以上の3つの要素です。
チーム編成は、企業の成熟度によって変わってきます。単純に販売部門がマーケティング機能を備えている場合もありますし、独立したマーケティング部門があり、そこで製品(ブランド)マネージャーが調査員とコミュニケーションを管轄することもあります。さらに大きなプロジェクトになれば、製品マネージャーがプロデューサーとして全体を統括して、研究所や技術者、財務、販売マネージャー等、各部署から代表者を出してもらってチームを編成する場合もあります。
チームミーティングでは、計画の進捗度と目標達成度合いを管理するため、KPI(Key performance indicators)重要業績評価指標を定めて、日々どのように製品が動いているのかを数字で把握します。評価指標の動きからいち早く課題を見つけ出して、その改善策を議論して潰していきます。このように計画や戦略をコントロールしていき、年度末には全体の動きを総括して、チーム内でさらなる課題を明確化して、計画をレベルアップさせていきます。このような動きをPDCAサイクルと呼んでいます。
以上がマーケティングの流れになります。調査し、戦略を練り、プログラムを立案し、それを実行して管理するという順番です。マーケティングの基本になりますので、WEBマーケティングする時はこれを意識するようにしましょう。